借金の条件は同居でした。 冷酷御曹司の屋敷で始まる主従恋愛

借金の条件は同居でした。 冷酷御曹司の屋敷で始まる主従恋愛

last update最後更新 : 2026-11-03
作者:  佳乃こはる剛剛更新
語言: Japanese
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故事簡介

溺愛

ハッピーエンド

現代

CEO・社長・御曹司

主従

メイド

秘密恋愛

初体験

禁断の恋

父が九百万円の借金を残して夜逃げした。いつの間にか連帯保証人にされていた新入社員・四葉美咲は、返済のため風俗店で働こうとする。そんな彼女を救ったのは、冷酷な鬼上司・藤城貴彪。ただし条件は、三年間、彼の屋敷で住み込みのメイドとして働くことだった。 「身体は売りませんからね」 「誰がお前なんか相手にするか」 昼は上司と部下、夜は主人とメイド。傲慢で女慣れした貴彪に振り回されるうち、美咲は彼の孤独と隠された優しさに惹かれていく。借金が作った主従契約は、やがて二人の身体も心も甘く縛り始める――。

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第 1 章

プロローグ

「やったぞ、美咲みさき。とうとう俺が総帥だ! これでもう誰にも文句は言わせない。ようやくお前を――」

 返事がなかった。

「美咲……?」

 わずかに開いた小窓から、春風が吹き込んだ。

 薄いカーテンがそよぎ、こたつの上から、かさりと紙の音がした。

 音のした方に目をやると、見覚えのある小箱があった。

 あれは、美咲に贈った指輪の箱だ。

 胸を満たしていた熱が、すっと冷えた。

 駆け寄って蓋を開けると、ダイヤの指輪がきちんと収められていた。

 箱の下から、銀色の包装紙が覗いていた。

 美咲が「もったいない」なんて言い、大事そうにしまっていたものだった。

 折り返された紙の端に、小さな文字が見えた。

 貴彪たかとらは急いで箱をどけると、震える手で包装紙を広げ、裏返した。

 白い裏面に、見慣れた右上がりの文字がびっしりと並んでいた。

「……何だよ、これは」

 最後の一行を読み終えても、貴彪はしばらく動けなかった。

 銀色の紙を持つ指先がわなないた。

 貴彪の視線は、手紙のある一文に戻っていった。

  ――『どうか、たくさんの人に愛されてください』

「……ふざけるな」

 貴彪は声を絞り出した。

「お前以外の誰かに愛されたって、意味がないだろ。俺は、ようやくお前を妻に迎えられると――」

 ふいに膝から力が抜け、貴彪はその場に崩れ落ちた。

 それでも、手紙だけは放さなかった。

「美咲。俺から逃げ切れると思うな」

 くしゃりと手紙を握りしめた。

 ――その一年前。

 美咲は、父が残した九百万円の借金と引き換えに、貴彪の屋敷に囚われた。

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4 章節
プロローグ
「やったぞ、美咲。とうとう俺が総帥だ! これでもう誰にも文句は言わせない。ようやくお前を――」 返事がなかった。「美咲……?」 わずかに開いた小窓から、春風が吹き込んだ。 薄いカーテンがそよぎ、こたつの上から、かさりと紙の音がした。 音のした方に目をやると、見覚えのある小箱があった。 あれは、美咲に贈った指輪の箱だ。 胸を満たしていた熱が、すっと冷えた。 駆け寄って蓋を開けると、ダイヤの指輪がきちんと収められていた。 箱の下から、銀色の包装紙が覗いていた。 美咲が「もったいない」なんて言い、大事そうにしまっていたものだった。 折り返された紙の端に、小さな文字が見えた。 貴彪は急いで箱をどけると、震える手で包装紙を広げ、裏返した。 白い裏面に、見慣れた右上がりの文字がびっしりと並んでいた。「……何だよ、これは」 最後の一行を読み終えても、貴彪はしばらく動けなかった。 銀色の紙を持つ指先がわなないた。 貴彪の視線は、手紙のある一文に戻っていった。  ――『どうか、たくさんの人に愛されてください』「……ふざけるな」 貴彪は声を絞り出した。「お前以外の誰かに愛されたって、意味がないだろ。俺は、ようやくお前を妻に迎えられると――」 ふいに膝から力が抜け、貴彪はその場に崩れ落ちた。 それでも、手紙だけは放さなかった。「美咲。俺から逃げ切れると思うな」 くしゃりと手紙を握りしめた。 ――その一年前。 美咲は、父が残した九百万円の借金と引き換えに、貴彪の屋敷に囚われた。
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今晩、俺に付き合え
「はあ」 もう、ため息しか出てこなかった。 重たい足を引きずるように出社した美咲は、少し乱暴に、リュックをデスクに投げ出した。「あれ、どしたの四葉。元気なさそうだけど」 優しく声をかけてくれたのは、六つ年上の先輩社員、香河紀文だった。 「あはは、少し寝不足で」 美咲は、曖昧に笑った。「実は今、リュックの中に『退職願』が入っているんです」 なんて、香河に言えるはずもない。四葉美咲は、六か月前に入ったばかりの新入社員だ。それがまさか、こんなに早く辞める羽目に陥るなんて、思ってもみなかった。しかも、父が残した九百万円の借金を返済するなんてことのために。「うう……」 パソコンを立ち上げる気力もなく、デスクに突っ伏しかけたところで、始業ミーティングが始まった。 美咲はこの後、今フロアの前方で、流れるような美声で業務連絡をしている年若い管理職、藤城貴彪課長に『退職願』を提出せねばならない。 藤城貴彪課長、二十七歳。 超のつく美声、美形、美スタイル。 噂によると、仕事もプライベートもやり手の「完璧人間」だという。 だが美咲は、この「完璧人間」、藤城課長がどうにも苦手だった。 厳しくて冷たくて、温かみを微塵も感じられない。半年間のうちに美咲は、課長の前に立つだけで背筋が強張るようになっていった。 ――嫌なことは、さっさと済ませよう。 午後一番、美咲はデスクに戻ってきた藤城課長に『退職願』を差し出した。「なんだこれは」「い、一身上の都合であります」 課長の眉間の皺が深くなった。「一応は預かるが……理由も聞かずに人事には上げられない」「え?」 意外だった。 ――てっきり〝お好きにどうぞ〟と満面の笑みを浮かべられるかと思っていたのに。「なんだ」「い、いえ、何でもありません」 美咲は、不機嫌そうな藤城課長を二度見した。 嬉しい反面、これはこれで困る。「ですが課長。これには、やむにやまれぬ事情がありまして」 美咲は、早くもパソコンに向かっている課長に食い下がった。 課長は面倒臭そうに返事をした。「半年でも、採用や教育に費用がかかっている。新人とはいえ、そう簡単に退職はさせられない」「でも、困るんです。急いでるんです、お願いします!」  何度かの押し問答
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今夜、俺と試してみるか
  仕事を終えて、藤城課長に連れられてきたのは、見るからに高級な小料理店だった。 入り口には見事な活け花、店構えからして、「部下とちょっと飲む」には過ぎた店だ。 ――ここ……割り勘じゃないよね? 課長の後ろを歩きながらも、喉がひくりと鳴った。 借金を抱えた美咲にとって、それは死活問題だった。 個室に上がり、紫檀の和テーブルを挟んで課長と向かい合うと、すぐに女将がやって来て、飲み物を聞かれた。「あの、水じゃいけませんか」「は?」「あ、いえ。課長と同じもので」 女将は丁寧にお辞儀をすると、ゆっくりと個室の戸を閉めた。  やがて、お銚子と料理が運ばれてくると、課長は女将にそっと耳打ちして、襖の戸を閉めさせた。 いたたまれない雰囲気の中、課長は冷酒をふたつの盃に注ぐと、長居は無用とばかりに、単刀直入に訊ねた。「それで?  半年かけてようやく使えるようになったお前が、突然辞めるなんて言い出す理由はなんだ」「ぐっ」 ――やはり苦手だ。この人の、高圧的な話し方。 冷ややかな視線には、一片の情さえ感じられない。 だが、借金の返済期限は明日に迫っていた。払えなければ、紹介された風俗店が九百万円を肩代わりし、美咲はその店で働いて返すことになっていた。 背に腹は代えられない。 美咲は腹を括ると、名刺入れから、加工の目立つ自身の写真を貼りつけた、ピンク色の名刺を差し出した。 源氏名『キャンディ』とポップな文字で書かれている。「実はその……明日から、こういうお店で働くことになりました」 貴彪は名刺と美咲の顔を、交互に見比べた。「……え?」 ――くそ、何だその反応は。 名刺を受け取り、あからさまに引いているその表情に腹を立てながらも、美咲は半ばやけくそに盃を煽った。 「うちの会社、副業は禁止されているでしょう。ですから、辞めざるを得なくて」「ふうん……しかし、いきなり風俗とは思い切った転職先だな。ホスト遊びの売掛金でも請求されたのか」 美咲はむっと顔をしかめた。「そんなんじゃありません! 父が、夜逃げをしたんです。私を連帯保証人にして」「ふん、借金か。今どきそんなことってあるんだな。……いくらだ」「……九百万円」  課長は、金額にはさして驚きもせず、名刺の写真を眺めていた。「ふうん……しかしこの写真、まるで別人だな」 
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今日からお前は俺のもの
 指先がすっと髪にかかった。 日本人離れした、琥珀色の瞳。 見透かされているようで、美咲は慌てて顔を逸らした。「か、からかわないでくださいよ……そんなこと、私が一番よくわかってます」 少し飲みすぎたせいだろうか。 じわりと涙が目の端に浮かんできた。 気持ちが、制御できなくなった。「……こんなの、平気なわけないじゃないですか」 美咲は勢いよく立ち上がった。 食卓を回り込むと、盃に口を付けている藤城課長を見下ろした。「私、ついこの間までは学生だったんですよ? 奨学金を借りて、真面目に勉強して、憧れのこの会社にやっと入って……恋人だって、いたことないんです!」「まあ、そうだろうな」 美咲は、顔をあげて課長を睨んだ。「それが、身に覚えのない借金で全部パー。私だって……人並みに、初体験くらい好きな人としたかった。課長のアホバカ、冷血の鬼っ!」 美咲は、たまらず課長の胸を拳で叩いた。 ――笑いたければ笑え、怒りたければ怒れ。 この人の部下でいるのも、今日までだ。  ところが、課長は怒りもせずに、美咲の手首を掴んだ。「口先だけの同情に、一体何の意味がある。九百万円の借金が、消えてなくなるとでもいうのか」 無機質な声に、美咲はひゅっと息を呑んだ。 手首をつかまれたまま、美咲は怯まずに課長を睨み返した。「それはないですけど。……せめて優しい言葉くらい掛けて欲しいのが、人ってものでしょう?」 課長は眉根に皺を寄せた。「では、そんなに嫌なら、なぜ一人で背負おうとする。お前ひとりで返せるものでもあるまい」「だって、泣いたって誰も助けてくれません。父は逃げましたし……九百万円も貸してくれる知り合いなんているわけないし」 課長が手首を放した途端、美咲の身体から力が抜けた。 その場にへたり込み、青い畳の細かい目を無意味に数えた。 「なら、俺が出してやる」「……え?」「九百万円。俺が片づけてやる」 美咲は目を丸くした。「そんな……出してやるって、九百万円なんですよ?」「何度も言われなくても、金額くらい覚えてる。それに、無理かどうかは、お前が決めることじゃない」「でも、何で? 課長が、私のために……あ、代わりに何かひどいことをさせようとしてるんじゃ」 身を庇うように自分の腕を抱いた美咲に、課長は至極真面目に言った。「……何を
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